ビアンチェンマイ掲載の原稿

Vol.62


「私の山をタダで使っていいよ」とタイ語で話し掛けてきたおまわりさんの出現でボクの運命の糸にオレンジ色の火がついたところでボクの「pai物語」第三章の幕が閉じ、四章が始まった。昨年の三月中旬のコトだ。
 それまでのボクにはpaiでの夢や思いのふくらみはなくって、ただpai人としての生活者で満ち足りていたので、山をタダで使っていいと言われても困ってしまうだけで関心も無かったから放っておいたら、突如としてある日「私の山を一緒に見に行こう」といって気の乗らないボクを無理矢理バイクに乗せて「私の山」に連行されてしまった。
 四月一日、嘘をついてもいい日、ボクの男友達四人が集まった時に皆にその「私の山」の話をしたら「オレが家を建てて住むよ」と「けいじ」という旧友が突如の意外な意欲をみせたものだから、皆で「私の山」を見に行って、そこから一気に「私の山」が展開し始めた.そしてボクの口から『ムーンビレッジ』という言葉が生まれ、タイ語で『ムーバーンチャンドラ』日本語で『月の村』と名付けた。
 その「けいじ」と他の男友達は資金調達の為に日本に戻り、ボクと彼らの心の中に何かが生まれふくらみ育ち始め「想い」ばかりが高まりゆく中、七月に入っても何も形にできないでいたら「他にも私の山を借りたい人がいる」と宣告され「私の山をタダで使っていい」話が一変して「五年契約で貸す」方向に流れてしまい、それでもボクらの『ムーンビレッジ』への想いがかなり高まっていたので、ボクの独断で「契約」の方向に向った。そしていざ「契約」の舞台に立ってみたら「私の山」十五ライの広さのうち五ライがすでに売られていて(おまわりさんのくせにバクチで大借金していたのだ!!)。その「裏切り」にボクの気持ちが一瞬にしてさめてしまい「もうダメか?」と影がよぎったとたん「オレが住もうと想ってた土地がある」と光を照らしてくれたタイの親友が出現したのだ。 「イエディ」という少女マンガの主人公みたいな男で、竹と木の葉で作った巨大なティピーに住みながら木製ディジュリィドゥを製作したり、シルバーのお店をやっていて現在ディジュリィドゥ奏者としても活躍中だ。パイに来たら是非ともこの「イエディ・ワールド」に接してほしいものだ。
 一日のうちに暗から光へと転変してボクらの『ムーンビレッジ』は山から小川沿いの平地に移り、なんとその小川を挟んだ向かいが「サンハット」ゲストハウスだったので、月と太陽の陰陽まんだらという偶然の一致。これに勇気づけられて一気に七月十五日、ボクの実母の命日、今の母の誕生日に「三年契約」をし、僕の「pai物語」の第四章が終わり五章が始まる。四章での「想い」の高まりのせいで第五章では「形」が急速に展開して
ゆき、畑、六角形の休み小屋、井戸、トイレ、倉庫と出現し、高さ2メートルの高床式の六角堂の柱六本が立つ頃ボクは二年ぶりの日本へ一ヶ月間旅立った。本格的にpai定住の整理の為に。
 一ヵ月後paiに戻ってみると巨大な六角堂が完成していて、一月二十六日のボクの誕生日にその「火入れ式」をして、六角堂の中の囲炉裏や外のキャンプファイヤーに初めて火を付け、五十人が持ち寄った食べ物、飲み物、音楽、人の気で祝い祈り祝い、そしてボクの「pai物語」第六章の幕が開ける.六月頃には日本米の田植えをするのでHELP!!よろしくね。

pai人とろんより


とろんのことば HP表紙